建築・アートの所感ノート

建築とアートの作品、展覧会、書籍などの感想を共有します。

講演会 三分一 博志「風、水、太陽」TOTOギャラリー間, 2016.4.15, イイノホール

三分一(さんぶいち)は以前から気になっていた建築家だ。本人が話す姿をみられて嬉しかった。淡々とした話し方であったが、自らの建築に対する強い意思を感じた。講演中は何度も自然の美しさを礼賛していた。そのような思想が「地球と一体化する建築」「建…

海外旅行の準備(タイ)

タイのお寺めぐりをしてきた(5日間)。 これからタイへ遊びに行く人、タイに限らず、海外旅行の経験が少ない人にとって参考になれば嬉しい。 まずは準備。これまで10回以上の海外旅行経験から準備も洗練されてきた。 《航空券》 Expedia でタイ国際航空(NR…

読書感想:磯崎 新『磯崎 新 建築論集 全8巻』「第8巻 制作の現場――プロジェクトの位相」岩波書店, 2015

ついに最終巻を読み終えてしまった。今まで「〜全集」というタイトルの本を全巻読んだことは無かった。それだけ磯崎の論考に刺激されてのめり込み、わたしにとって『磯崎 新 建築論集 全8巻』は特別な本であった。 第8巻は代表的なプロジェクトが時系列でま…

読書感想:磯崎 新『挽歌集 建築があった時代へ』白水社, 2014年

磯崎の交友関係の広さには驚いた。トップクラスの人たちは、みながどこかで繋がっている。今なら Facebook だろうか。建築家、写真家、芸術家など書籍や彼らの仕事を通して、特によく知っている人たちに対する文章が興味深かった。巻末には書き下ろしもあっ…

映画「みんなのアムステルダム美術館へ」2014年

とても面白かった!美術館の館長、学芸員、建築家、インテリアデザイナー、役所、サイクリング協会などの市民たちが議論しながら建築をつくっていく様子を映画にした作品だ。美術館を通り抜ける自転車道とエントランスが問題の焦点になる。 アムステルダムは…

森美術館 村上隆の五百羅漢図 展:トークセッション「日本、物語、リアリズム」アカデミーヒルズ

村上は世界のアート界をリードする先頭(ウォーホルなど)に立ち、メインストリームをつくり出したいと 3.11 まで思っていたという。「スーパーフラット」は、その流れの中で考え出された。しかし、その目標に限界を感じて自分の作品を残すことを意識するよ…

コンテンポラリーダンス 森山開次「サーカス」新国立劇場

森山の作品は、以下を見てきた。今回(2015.6.27)は4回目。 2011.10.10 「LIVE BONE 2011 in 水戸」(ひびのこづえ×森山開次×川瀬浩介) 2012.10.20 高木正勝「曼荼羅の宇宙」 2013.2.9 津村禮次郎×森山開次「石橋+Shakkyou」 今回は水戸でみた「LIVE BON…

読書感想:飯島 洋一『「らしい」建築批判』2014, 青土社

[ ブランド建築 ] 飯島は新国立競技場計画設計競技にて、東京がオリンピック開催地として選ばれるためにザハ・ハディド案を選んだのではないか、という。ザハ案は誰が見ても「アッ」と驚く外観である。世界中に同じ設計手法でつくられた建築がある。それを…

映画「だれも知らない建築のはなし」

(ネタバレ注意) 建築家 石山 修の娘 石山友美が、2014年ヴェネチア・ビエンナーレで上映した「Inside Architecture」を再編集した作品である。 世界の建築界からみた日本と、その中の人の回想が、全体を通しての展開だった。日本の建築が世界から一目置か…

谷口吉生「鈴木大拙館」2011年, 金沢市

まもなく開通する新幹線に活気づく金沢駅。バスに乗り換え、バス停から目的地まで歩いていると、建築学生を1人発見した。さらに、クルマで来た取材するオジさん2人組も同時に鈴木大拙館に向けて歩いた。みんな建築関係者で、まるで聖地巡礼をしているようだ…

庄内町ギャラリー温泉 町湯

0.設計者 2014年の年末にできた「庄内町ギャラリー温泉 町湯」に行ってきた。設計は高谷時彦さんで、鶴岡市の「まちキネ」(2013年 日本建築学会 作品選奨)も「藤沢周平記念館」も設計している。遊佐でも防災センターを設計するらしく、庄内全域であち…

読書感想:磯崎 新『磯崎 新 建築論集 全8巻』(第1〜7巻)岩波書店

著作の第1〜7巻(第8巻は未刊)を読んで、建築を本当に楽しんでいるのが伝わってきた。磯崎が建築界で最も大きな影響を持つ建築家だと改めて認識した。磯崎は1950, 60年代にアーティストたちと深い関係を築いた。自身の組織「磯崎アトリエ」に端的に表れ…

読書感想:三潴 末雄『アートにとって価値とは何か』幻冬舎, 2014.9

とても面白かった。本書の構成は、半分が三潴さんの自伝、残りがアーティストの関係・批評を交えながら、アートに対するマニフェストになっている。 欧米の価値基準だけでない考え方を、欧米を含めた世界に理解して欲しいと述べていた。それを実現するための…

読書感想:『磯崎新の建築談議』シリーズ、全12巻(第8,10巻)、六耀社

この2冊を読んだ。 磯崎新、篠山紀信、五十嵐太郎『磯崎新の建築談議』六耀社, 図書館 第8巻 パラッツオ・デル・テ(16世紀) ジュリオ・ロマーノ 第10巻 ショーの製塩工場(18世紀) クロード・ニコラ・ルドゥー 磯崎新建築論集 第5巻 で次の3論文が掲載さ…

読書感想:磯崎 新『磯崎 新 建築論集 全8巻』「第7巻 建築のキュレーションへ――網目状権力と決定」, 岩波書店

特に気になった論文の感想を書く。 「大勧進 重源――1180年代・奈良」 これまで磯崎新建築論集シリーズを読んでいる中で、何度か重源は登場してきた。浄土寺浄土堂は「正方形平面にピラミッド状(宝形寄棟(ほうぎょうよせむね))に屋根がのせられ」と説明し…

読書感想:磯崎 新『磯崎 新 建築論集 全8巻』「第6巻ユートピアはどこへ――社会的制度としての建築家」, 岩波書店

レオニドフの「太陽の都市」 気持ちが良いほど理想的な計画がいくつも紹介されて、図面をみてみるといずれもカッコ良い。まさに〈ユートピア〉の世界だった。磯崎が推す「太陽の都市 (Sun City)」は画像があまり見つからなかった。それまで計画してきた建築…

読書感想:磯崎 新『磯崎 新 建築論集 全8巻』「第5巻「わ」の所在――列島に交錯する他社の視線」, 岩波書店

第Ⅲ章以降(「床の現象学」除く)は建築作品を題材とした空間分析だった。google 画像検索をして、Evernote に画像を貼付ながら読み進めた。中谷礼仁の解説によると次の3つの論文は『建築行脚』シリーズから選ばれたそうだ。 「両性具有の夢――ヴィッラ・アド…

読書感想:磯崎新『磯崎 新 建築論集 全8巻』「第4巻〈建築〉という基体――デミウルゴモルフィスム」, 岩波書店

アクロポリス、イセ、ジョン・ソーンの章が特に興味深かった。アクロポリス、パエストゥムに行きたくなる。パルテノン神殿を見たい、体験したい。ブルネレスキ、アルベルティ、パラーディオなどルネサンスの建築家が何度も登場してくるので、もう一度、建築…

読書感想:磯崎新『磯崎新建築論集 全8巻』「第3巻 手法論の射程――形式の自動生成」, 岩波書店

《 手法 》 磯崎がマルセル・デュシャンを始め、ジャクソン・ポロック「ドリッピング」、ジョン・ケージ「チャンス・オペレーション」、アラン・カプロー「パフォーマンス」などが表現する方法を「手法」とよび、それを基に建築を構想すると述べられていた。…

土門拳記念館 ギャラリートーク:堤 勝雄 「弟子が語る土門拳」

< ギャラリートーク:堤 勝雄 「弟子が語る土門拳」 > 2014.8.8 (引用) 1944年 静岡県生まれ(70才)。東京写真短期大学(現・東京工芸大学)卒業。在学中より土門拳に師事。現在、フリーランスの写真家として、美術品、建造物、風景、ルポルタージュ、料…

読書感想:磯崎新『磯崎新建築論集 全8巻』「第2巻 記号の海に浮かぶ<しま> 見えない都市 」

この第2巻は磯崎の都市に関する論文がまとめられている。 次の表が、特に興味深かった。 時代 主題 パラダイム 手法 19世紀 首都 (capital) 計画 (planning) 目標=テロス 20世紀 大都市 (metropolis) 代理表象 (representation) 大量数 (greater number) 2…

「秋田県立美術館」と「秋田の行事」

<<< 「秋田県立美術館」安藤忠雄 2012 >>> 市立図書館の方から歩いて向かう。お堀から見える姿は、とても静かで渋かった。正面入口前は広場になっている。入口もミニマルだった。雪対策のためか、庇がついていた。 内部に入ると外観とは一転して、エレガント…

読書感想:磯崎新「第1巻 散種されたモダニズム 」『磯崎新建築論集 全8巻』

「大阪万博」と「つくばセンタービル」「散種されたモダニズム」の章が印象的だった。論理が素晴らしくて、良い映画やコンサートのあとのような感動があった。今さらながら、磯崎 新にシビレタ。 < 大阪万博 > 「不可視のモニュメント」を目指したが、偶像崇…

読書感想:丹下健三

丹下健三に関する本を集中的に読んだ。カッコ内は読了日。 丹下 健三・藤森照信『丹下健三』新建築社, 2002(2014/04/16) 丹下 健三『人間と建築 デザインおぼえがき』彰国社, 1971(2014/03/23) 丹下 健三『建築と都市 デザインおぼえがき』彰国社, 1970(…

Chim↑Pom(チムポム)「BLACK OF DEATH 2013」

東京国立近代美術館(MOMAT)で、コレクション展示「特集: 地震のあとで―東北を思うⅢ」(2014.4.15-6.1)を見てきた。 http://www.momat.go.jp/Honkan/thinking_about_tohoku_iii/index.html 0. まずはこれを見て欲しい。 BLACK OF DEATH/Chim↑Pom - YouTube…