読書感想:三潴 末雄『アートにとって価値とは何か』幻冬舎, 2014.9
とても面白かった。本書の構成は、半分が三潴さんの自伝、残りがアーティストの関係・批評を交えながら、アートに対するマニフェストになっている。
欧米の価値基準だけでない考え方を、欧米を含めた世界に理解して欲しいと述べていた。それを実現するための方法の一つとして、世界をリードする美術館(MoMA, Tate Modern など)で日本人のキュレーターが活躍して欲しいという。これにはわたしも大賛成だ。アートの価値をつくる核になるところの影響が最も大きい。
三潴さんは「ジャラパゴス」展や「ジパング」展を企画したり、海外に支店を出したり、もっともっとアート界を盛り上げていこうという意識が伝わってきた。これからも注目し続けて、応援したい。
今をときめく現代アーティストとの出会いや付き合いが述べられる章も面白かった。村上隆、会田誠、山口晃など好きな作家を、さらに知ることができて良かった。日本人の作家はモノとしてのクオリティが非常に高い。それにコンセプチュアル性が付加されると、作品の強度はさらに上がる。そのような作品は、グローカリティ(Glocality=Globality+Locality)に適し、世界中から魅力的に見えるはずだ。
現代アートが好きな人には必読の一冊だ。
MIZUMA ART GALLERY / ミヅマアートギャラリー