建築・アートの所感ノート

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土門拳記念館 ギャラリートーク:堤 勝雄 「弟子が語る土門拳」

< ギャラリートーク:堤 勝雄 「弟子が語る土門拳」 > 2014.8.8

(引用) 1944年 静岡県生まれ(70才)。東京写真短期大学(現・東京工芸大学)卒業。在学中より土門拳に師事。現在、フリーランスの写真家として、美術品、建造物、風景、ルポルタージュ、料理写真等をテーマに各種出版物、雑誌等で活躍。日本写真家協会会員、土門拳記念館理事。

 堤さんは毎週土曜日の朝日新聞に掲載される料理写真を撮っている。

 

     以下、ギャラリートークまとめ


土門拳記念館》
谷口吉郎に設計依頼した後、すぐに亡くなった。そのため息子の谷口吉生に白羽の矢が立った。竣工当時から建築界で高く評価された。建築自体が芸術である。
・第4代 藤原泰衡(やすひら)が殺されて、徳尼公(とくにこう)が後の「三十六人衆」と呼ばれる家臣たちを連れて酒田に逃げてきた。その縁があって中尊寺の古代の蓮「中尊寺ハス」を株分けしてもらった。

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《古寺巡礼の出版》
室生寺の仏像が土門のココロを捉えた
      1954年 - 写真集『室生寺』(美術出版社)刊行
和辻哲郎『古寺巡礼』, 1919年出版 から名前をとる
自費出版で価格は大卒の初任給くらいと非常に豪華
土門の友だちの亀倉雄策に装丁や編集のデザインを任せず自分でやった
・全てにおいて手を抜いていない、納得するまで撮る
     三仏寺には4度も撮影旅行をした
・何度も撮って上手に撮れた写真でなく、想いが込められた最初の写真を出版に選んだりする


《作品》
・フラッシュバルブを使った作品は、全て多重露光で撮っている
     一つずつ使い、竹竿に付けたバルブの位置を変えて何度も撮って重ねる
土門拳はレンズを45 1/2 まで絞りたいので強い光が必要
・絞り45-65 + 強い光(フラッシュバルブ)でホコリなどを吹き飛ばす
・被写体の全てを叩き出す、バルブの光は波長が長く、今のフラッシュとは違う
・フラッシュバルブは「強調と省略」、失敗も目立つ
・背景は強い光で飛ばしたから黒い
・当時1つ150円くらいするフラッシュバルブをたくさん使った
・35mm 換算で105-135mm 位のポートレートに適したレンズで仏像を撮った(仏像は人型)
・テレで撮り背景を省略する


薬師寺
薬師寺の再建される前の五重塔の心柱の基礎(心礎)を撮るために、溜まっていた水と泥をかき出し磨いた
      弟子たちは最初乗り気でなかったが、最後にはもっと磨きたいから先生に待ってたそうだ(笑)
薬師寺の西塔と東塔の屋根の傾斜角が違う
     西岡棟梁いわく、時が経つと同じになる
・午前中の雰囲気がリセットされてしまうので、撮影するときは昼ご飯は食べない